魚津三太郎塾第6期
魚津市/富山大学
地域課題と企業課題を解決する地域プロジェクトの創造 いざ未来形魚津へ!

事業レポートReport

魚津三太郎塾第8期9日目 コミュニティビジネス育成起業化論

日時:令和元年11月21日(木)14:00〜17:00
場所:魚津市役所 第1会議室

魚津三太郎塾第8期の9日目が開講。コミュニティビジネス育成起業化論として,和歌山県田辺市の「たなべ未来創造塾」から講師を招き,地域課題解決のまちづくりへの取組や同塾修了塾生が実現させたプロジェクト内容についてヒアリングし,ビジネス手法での地域課題解決やコミュニティビジネスのケーススタディをおこなった。今回はとやま呉西圏域共創ビジネス研究所から4名の研究生,たなべ未来創造塾から2名の塾生と3名の修了生が参加しての初の合同講義となりグループ討議では活発な相互塾生が意見・情報の交歓がおこなわれた。講義修了後には3塾交流会も開かれた。

9日目第11限 講義
コミュニティビジネス育成起業化論①
講義:田辺市の取組「新たなまちづくりへの挑戦〜ローカルイノベーターたちが地域を救う!〜」

講師:和歌山県田辺市企画部たなべ営業室 鍋屋安則氏
コミュニティビジネス育成起業化論①

冒頭に田辺市の立地や地域資源となる世界遺産の熊野古道や農産品の梅や柑橘などを紹介。
人口や面積・産業・観光について魚津市と比べながら田辺市について説明。特に人口の減少については全国平均より早いスピードで進み,将来的に山村地域を中心に過疎が進むことが予測され,経済面でも内需に依存していることから人口減少の影響が直撃すること背景から,平成26年4月に田辺市役所に専門部署(たなべ営業部)を設置して首都圏中心としたプロモーションと戦略ビジョン・プランの策定に取組始めたと話し,地域外から人を呼び込む交流人口の増加と外貨を獲得し地域内で経済を循環させる地域経済の活性化のための人材発掘と育成の必要性を模索中に地方創生を先取るプロジェクトを富山県の魚津や高岡で進めてきた富山大学の金岡教授の存在を知り,「価値創造プロジェクト検討委員会」の委員長を依頼して戦略ビジョンプランを策定したと経緯を説明。

地域が生き残るためには,地域で「稼ぐ」プレーヤーが必要であり,補助金や外部人材に頼るのではなく地域企業の第二創業支援と地域課題をビジネスで解決する力が持続可能な地域づくりとなると考えを実践する人材育成プログラムを先駆している魚津三太郎塾とたかおか共創ビジネス研究所(とやま呉西圏域共創ビジネス研究所)を手本とした「たなべ未来創造塾」を開講。田辺市と富山大学の間で「人材育成の連携に関する覚書」を締結,日本政策金融公庫と運営に対する全面的な支援協定を締結,近畿財務局和歌山財務事務所の支援など「産学官金」一体となった運営体制で「たなべ未来創造塾」は今年4期目となっていると説明し,塾生の職業や講師,カリキュラム内容について紹介。

地域課題と企業課題をビジネスで解決し,地域と企業がWinWinの関係性を構築することがポイントとなると伝え,修了塾生の事例を紹介。解決していく地域課題と企業課題をあげて各事例を紹介しながら水面下で修了塾生が繋がり新たな事業への展開を拡げている状況をあげ,地方で生き残るには異業種が繋がることが大切であると話した。

9日目第11限講義
講義② 農人と森の番人プロジェクト

講師:岡本農園 岡本和宣氏

たなべ未来創造塾第1期生として学び,現在事業として取り組んでいる「農人と森の番人プロジェクト」の取組について紹介。岡本農園がある田辺市日向地区の地域課題である農業者の高齢化による作付面積の減少,担い手不足による耕作放棄地の増加,深刻化する鳥獣被害,農産物の不安定収入,人口減少による雇用確保などの地域課題が負のスパイラルとなっている現状を説明。

人口減少に伴いイノシシ・シカなどが増え続け,農業収入の減少を引き起こしていることが特に深刻な問題となっており鳥獣害対策が緊急課題であったと説明。この課題解決のために「農人と森の番人プロジェクト」を提案し取り組んでいると経緯を説明。自分たちの地域は自分たちで守ろうを合言葉に若手農家メンバーによる狩猟チーム「チームHINATA」を結成。獣害対策と狩猟活動により,獣害被害が減少し地元農家期間から感謝の声があがったと成果を報告。駆除だけでは活動の持続にが精神的限界を感じ,向き合う命を大切にしようと資源化を考え,獲物の解体処理場や加工施設との連携を図り,狩猟者の負担軽減や地域産品としての活用への取組をしていると説明。

具体的な取組について,料理人との連携によるジビエ料理の提供に取組み,地域と連携を図ってジビエ料理の交流イベントを開催するなど食の原点を知ってもらう体験イベントツアーの企画,農業体験や狩猟ツアー,解体見学といったグリーンツーリズムなどの活動を実施していると紹介。「チームHINATA」を農業だけでなく,加工,体験,販売などワクワクする地域商社へ発展させ地域へ住みたいと思う人が集まる地域の魅力を自分たちで創っていきたいと話した。

9日目第11限講義
講義③ 「私のたなべ」

講師:コログラフィカ 竹林陽子氏

たなべ未来創造塾第1期生として学び,企画実施しているプロジェクトの取組について紹介。
冒頭に自己紹介で結婚を機に移住しデザイナーとして独立した経緯を話し,たなべ未来創造塾へ参加して学んだ話しを交え修了式でプレゼンテーションした内容を紹介。

売れない虫食いの木材「あかね材」を何とかしたいという地域課題を大好きな熊野の山を守るために自分の強みを活かして何とかして商売にもつなげたいという自社の課題との共通価値を見いだし,あかね材をデザインの力で付加価値を付け,安くても売れなかったものを高く売れるようにと考え,虫くいの素材を活かした家具や外国観光客へ向けた箸てづくりキットの製作などあかね材をデザインして商品化してブランド化させ熊野の山を元気にする取組を修了式で発表。修了後に修了生の家具店や木工所,森林業と手を組み,あかね材を利用する「Boku Moku」をスタートさせ事業実現させ,デザインの力で問題をわかりやすく伝えながらワークショップなどでのモノづくり体験や森林体験・勉強会や苗木づくりなどにも取組み新しい商品化も進めていると紹介。

また,公共性の高い取組が共感を呼び,活用の場が拡がり表彰を受けたりするなど認められるようになったが,イベント出展増加に伴う疲弊や組織の仕組みづくり,利益確保と木材消費だけでいいのかなどの課題にぶち当たっていると話した。さらにデザイナーとして塾生とコラボしたパッケージやポスター・チラシなどの作品を紹介。最後に受講生へ「Boku Moku」と皆さんの事業とコラボは大歓迎ですと呼びかけた。

9日目ディスカッション

論点:事業プラン立案の思考

魚津三太郎塾,とやま呉西圏域共創ビジネス研究所,たなべ未来創造塾の塾生が3グループに分かれ今回の講義内容をケーススタディとして,地域課題・企業課題は何だったのか,活用する地域資源は何だったのか,地域と企業の共通価値(地域課題と企業課題の共通解決策)は何だったのか等各事例を分解するグループディスカッションがおこないビジネス手法での地域課題解決やコミュニティビジネスの事例検証をおこなった。各グループには講師を務めた田辺市の鍋屋氏,竹林氏と三太郎塾修了生の南部氏,たなべ未来創造塾塾生の更井氏と高橋氏,和田氏がローテーションで参加し各々の事例への質疑や意見の交換をおこない理解を深めた。討議終了後に各グループの代表が事例分解した内容について発表した。